INTERVIEW


「 CASSETTE STORE DAY 2023」ミューズに土岐麻子さん就任



土岐麻子さんが2023年カセットストアデイのミューズに就任!

-カセットストアデイにどのような印象をお持ちですか?

カセットを知らない世代にも紹介できるこのような機会は、とても有意義だなと思います。個人的なお話をすると、青春時代にいちばん親密だったメディアなので嬉しいです。テープは子供でも扱いやすく、小学生の時は小さいラジカセで歌謡曲のテープを聴いていました。中学時代はウォークマン。あと深夜ラジオを録音したり、好きなアルバムや曲をダビングして友達と交換したり。高校生になるとFOSTEXから4トラックのMTRが発売されたので、当時組んでいたバンドの録音をするようになりました。大学に入ると16トラックのMTRでデモを作り、インディーデビューをして…最初にレーベルに送ったデモもテープ、ファーストアルバムをリリースしたのもCDとテープでした。


-初めてカセットに触れた時の記憶や初めて買ったカセットのタイトルは? また、カセットでお気に入りの一本は?

物心ついた時から家にありました。ケースを開閉するときのカシャカシャした音が好きでした。初めて買ってもらったテープは小学生のとき、斉藤由貴さんのアルバムだったと思います。中学のときに買ったPERSONZの『MODERN BOOGIE』は一番いいテープにダビングして、何度も聴きました。夜中にイヤホンで聴く時間は特別でした!


-サブスクで自由にプレイリストを作って聴く時代ですが、アルバムの曲を飛ばさずに聞いてほしいというアーティストも多いと思います。特にアナログは曲順通りに聴く必要もあります。アルバムやライブでの曲順のこだわりについてお聞かせください。

アルバムを作るときは曲順でストーリーを描くので、その順番に聴いてほしいと願います。でもじつは、私もサブスクでは聴きたい曲だけを聴くことが多いです。デジタル配信では「曲間」が芸術として存在しにくいので、そういう聴き方が合っていると思います。曲単位で音楽を聴くことに親しんでいる世代の人でも、ライブでは曲順や曲間からストーリーを受け取る楽しさを感じることができると思います。


-土岐さんの考えるカセットの良さや、アナログ(カセットやレコード)を作るときに曲や音作りで意識している部分は?

私にとってはカセットが原体験だから、語るときにどうしても「なつかしさ」「思い入れ」が絡むので、音質について改めて他のメディアと比べて説明するのは難しいのですが…どんな人が聴いてもデジタルとはあきらかに違うと感じると思います。どちらもそれぞれの魅力があって、アナログはよく「あたたかみがある音」などと表現されますが、独特のノイズを良い情報として捉えられる人には向いていると思います。
私はアナログリリースのためだけに作品を作ったことはないのですが、作るとしたらやはり曲順が大事になってきますね。退屈だと聴くのにかなりの忍耐を要することになってくるので、そうさせないように。そしてA面とB面があるので、実質二枚組を作るような感覚もあると思います。



-アナログメディアにはA 面とB 面があり、アーティストはA 面からB 面に進んでいく際、B 面の1曲目には新たな思いれがありました。オリジナルのミックステープを作るとしたら、A 面の最後に入れたい曲、B 面の最初に入れたい曲は?

テーマや流れにもよりますよね!
たとえば、A面の最後にちょっと収集つかない感じの曲を入れたとしたら、B面の最初では夜が明けて全部忘れた感じの展開にするとか。シティポップのテーマで作るとしたら…「ラムはお好き?」で終わって、B面で佐藤博さんの「YOU'RE MY BABY」にします。笑


-かつてのカセット世代は自分自身のミックステープを作り、デートの時に高速道路に入ったらこの曲を流すとか、こだわりを持って選曲していました。このような経験やドライブなどのシーンで聴きたい曲は?

テープの時代に車を持っている仲間が誰一人としていなかったので、そういうエピソードは憧れです!
その後いろいろな曲を車で聴いてきましたが、山下達郎さんの曲と声は車にぴったりですね。理由は分かりません。


-カセットはかつてメッセージや音楽を入れて友達や恋人に送ったりする今でいう「SNS」としてのコミュケーション・ツールでした。カセットにメッセージを残すとしたらどんなことを録音して残しますか?

声のメッセージを入れたことはありませんが、ロマンチックですね。その日あったエピソードとそれに合う音楽をセットにして、何日か分の日記のようなテープを遠方の人に送るとか…でもそんな手間のかかることをしたいと思えるエネルギーは湧いてこないかもしれません。笑
小学生のとき、友達とラジオ番組を真似てトークを録音したことはあります。ゲストは友達の妹だったり、飼い猫だったり。いまだったらYouTubeですよね。



-最後に、カセットに興味がある皆さんへのアドバイスやメッセージをお願いします。

珍しい思いでテープを眺めている方は、ぜひこの機に手に取ってみてください。
面倒くさくてときに忍耐を問われる、しかし魅力的な世界が待っています!曲間の無音まで楽しめるようになったとき、これまでとは全く違った音楽との付き合い方が始まるでしょう。




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Cassette Week / Cassette Store Day Japan 事務局

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